覚悟の瞬間(とき)

OBO CLINIC 精神科医 於保哲外
おぼてつがい

於保哲外

佐賀県生まれO型
職業:OBO CLINIC 精神科医
趣味:読書、ゴルフ、オーディオ、古代史研究、写真撮影
座右の銘:今 此処 自分 が最高

東京大学医学部卒業。東大病院分院神経科にて精神科研修。その後、社会保険中央総合病院にて内科研修。再度、東大病院分院神経科に戻り、精神科勤務の後、久徳クリニック東京院長を務め、1996年よりオボクリニック院長として人間を診る診療を行っている。著書に「ドクターオボのこころの体操」(素朴社)「自信が湧いてくる心理学」(第三文明社)「心も体も冷えで壊れる」(リサージュ出版)などがある。

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来歴

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なぜ今の仕事に?

私が、医者になろうと決めた理由は二つあります。一つは、幼い頃の思い出です。私の父親は医者だったのですが、当時はまだ健康保険が無かったため、貧乏な人は病気になっても医者にかかれなかったのです。父は、そういう人から、治療費をもらわないで診てあげていたということを小さい頃から周りの祖母や母親から聞かされていたわけです。この話に感銘を受けて、医者というのはそういう弱い立場の人の力になってあげられるんだなと子供心に思ったことを覚えています。もう一つは、『人間』に興味を持っていて、「どのような職業が一番人間そのものと深く関われるか」と模索しました。その結果、生死という一番大事な場で人間と関わる医学の道が私の求めているものだと確信するようになったのです。医者といっても色々な科がありますが、私は人間の全体と向き合いたいという思いから、精神科をメインに、内科も研修し現在の「人間を診る」医学に至ったわけです。

現在の仕事への想い

ものごとは見方次第です。精神科医という仕事は、朝から晩まで、一番落ち込んで行き詰っている人間の悩みや苦しみ、絶望、愚痴、不平不満を聞く事が仕事の職業といえます。見方によっては、よりによってどうしてこんな因果な仕事についたのだろうと捉えることもできます。しかし、視点を変えて、私の前に来られる患者さんの人生をドラマとして俯瞰してみると、精神的な病気になる時というのは、一生のうちでも一番不安な、絶望的な事態に陥っている時、つまり人生最大のピンチの時であるといえます。その一番大変な時に登場して、話を聞き、安心させてあげ、さらには励まして、人生を拓いていく、蘇生していく手助けが出来るという最高に意味のある職業であると捉えることもできるわけです。そしてその時一番大切なことは、その患者さん自身が、本来は、その人自身にしかない素晴らしい可能性を持った、心も体も健全であり、完璧な人間であると尊敬し、信ずる力です。ですから、診療の場は、その力をどこまで磨き強めていくのか、という私自身の修行の場でもあるのです。患者さんと向き合いながら、一緒に成長することを心がけており、毎回患者さんが診察室に入ってくる時に、手を合わせて尊敬する思いで迎えるように心がけています。

あなたにとって覚悟とは

医療の場は、人間の触れ合う場です。それぞれの生き方が影響し合う場とも言えます。医療に従事する者にとっては、生き方が問われる場とも言えるでしょう。病気や病人を見ていく前に、まず一人の人間として、病者の苦悩を受け止める事が必要です。その上で、病者に共感し、同苦して行く姿勢が求められます。そして、自身のものとして受け止めたこのような苦悩に対して、強靭な生命力と、深い知恵で、解決の方途を探り出し、患者と共にその苦悩を乗り越えて行く。こうして、 病苦をかえってお互いの人生を深め、より豊かな物にして行く契機とする事ができます。私は、人間は死ぬまで、何歳になっても常に成長することができる存在だと考えています。その意味で日々の患者さんとの関わりが、自分を磨いてくれていると実感しています。医者になった頃、ある先輩から、一番大変な患者さんが、実は医者としての自分を一番成長させてくれるのだ、と言われた事があります。思い出深い一人の患者さんがいます。まだ医者になりたての頃ですが、診察室で大きな金切り声をあげたり、カルテをびりびりに破かれたり、診察室にあるものを投げつけてきたり、また、自宅にも真夜中に何十回も電話をかけて来たり、こちらが心身ともに限界になるほどで、周りの看護師さんたちも気の毒がってくれるありさまでした。何回も他の病院に行ってもらうことを考えたものです。その時、一番大変な患者さんが、実は一番成長させてくれるという話はこのことだと思ったのです。そして、「この人のことで自分がここまで悩むということはこの人は私によほど深い縁のある人なのであろう。」と実感し、真正面からこの患者さんと向き合い、全てを受け止めていこうと、腹が決まったのです。そのときからこの患者さんは徐々に落ち着き、良くなっていったのです。大変な事態から逃げずに向き合った時、流れは変わっていき、また自分自身が磨かれ、成長するということを日々感じています。

カッコイイ大人とは?

一流の人物を見ていると、そこに共通項があるなと感じています。すなわち、ユーモアがあり、冗談が好きでふざけたり、遊んだりすることが大好き。こういう人はみんな個性的で、独創性があり、創造的な仕事をする。しかも、わがままで、ワンマン、おおらか、自然体といった風情があるものです。一言でいうと子供っぽさ全開の生き方だと思うのです。こういうタイプの人は心の病気には無縁だなと実感します。すなわち、自分の生命の中に、自由自在で天衣無縫な無限の可能性があり、それをいつも信じている子供の自分が存在していて、それが何があっても損なわれない、と言う事だと感じています。もうひとつは、日清・日露戦争の頃活躍した大山巌という元老がいます。大山元老は、若い頃カミソリの大山といわれ、切れ者として周りの人から怖がられていたそうです。大山さんは、これでは人が付いて来ない、大きな仕事ができないと反省し、大物になる練習を始めました。それは部下が、失敗が目に見えるような愚かな提案をしてきてもそれを『ヨカヨカ』と許すのだそうです。しばらくして、案の定、失敗の報告をしてくるのですが、腹の中ではそれ見たことかと怒っているわけですが、顔はニコニコしながら、また『ヨカヨカ』と言う練習をしたわけです。心の底から顔と気持ちが一致するのに3年かかったということです。子供っぽさ全開で、かつ、寛大な心で生きる人はカッコイイですね。

今後の目標

科学技術文明は、これからますます発展していくでしょうが、私たちはその流れを手放しで喜べなくなってきているのが実感ではないでしょうか。自動車の自動運転はすぐそこまで来ていますし、家電のAI化も着実に進んでいます。やがて、ロボットに取り囲まれて、日常的にロボットの世話を受けて生活することが当たり前になりそうですが、私はそこに人間が置き去りにされた世界を垣間みる思いがします。私自身の将来の展望は、そういう時代の中でこそ人間に焦点を当ててゆく医療に力を入れていきたいと思っています。現在、私の診療に並行して、カウンセリング、リライフアカデミーによる 集団精神療法を行っていますが、やがて、滞在型の自己啓発施設も構想しています。様々な角度から人間に光を当て、人間が輝く生き方を模索しています。 それを日本や世界に広げて21世紀を人間の世紀にしていきたいですね。

若者へのメッセージ

赤ちゃんのために歩行器が作られて、赤ちゃんが転ばなくなった頃から、顔面から転ぶ子供が増え始めました。転ぶ練習ができていないから、うまく転べなくて、適切に運動することができなくなってしまったのです。人間は猿から進化しましたが、猿が昆虫を食べていた時に、あぶれた弱い猿が生き残るために知恵と勇気を出して、木の上に登り、果実を食べて大型化し、そこでもあぶれた弱い猿が、今度は仕方なく木の葉を食べ出して、木の葉は大量にあるのでその猿は繁殖し、さらにそこでもあぶれた弱い猿が、仕方なく地上に降りて、地上の強敵の脅威に晒されながら、勇気と知恵で生き延び、やがて人類に進化したのです。こうしてみると挫折の体験こそが新しい生き方とさらなる発展をもたらしてきたその積み重ねが我々の先祖の歴史です。どんな苦境もより良い人生を拓くためのチャンスへと転じる力を我々は持っているのです。今の若者には、失敗を恐れない人に、というメッセージを送りたいと思います。その上で、その失敗した時に大切なこと、それは、不安な時、絶体絶命な状況で、「大丈夫」と言うことです。これはとても勇気がいることです。しかし、根拠が無くても大丈夫と決めると、不思議に大丈夫のレールが敷かれていくものです。この大丈夫と言う練習を大変な時こそ是非やってみてください。失敗しても挫折を繰り返してもニッコリ笑って大丈夫を言い続けることが大切です。もう一つは、常に自分に向かって大好きと言ってみてください。最初の頃は違和感や恥ずかしさを覚えるものですが、続けているとやがて最悪と思われる状態のときでも、大好きと言えるようになるのです。これが、ピンチに強くなる極意です。

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お気に入り

BEMOLO靴と言ってかかとが高くなく、運動に最適なビジネスシューズです。野球のイチロー選手も愛用しているそうですが、私も7,8年愛用しています。

ペンタックスのカメラ

ペンタックスのデジタル一眼レフを10年位前から愛用しています。海や空の色が気に入っています。クリニックの待合室で撮った写真をデジタルフォトで楽しんでいただいています。