国際武道大学体育学部卒業。新卒で埼玉県にある私立幼稚園に入社、スイミングクラブのコーチとして5年間勤務。その後、父親の経営する有限会社心和建設に入社。現在は心和建設の専務取締役として経営を支えている。
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私の父親は、元々型枠大工として働いている職人でした。実際に現場で叩いて建物を建てる一職人として、毎日汚れた作業着を着て帰ってくる姿を見ていました。そのため、特に思春期の頃は少し嫌だなという気持ちが強かったのを覚えています。しかし、18歳で家を出て一人暮らしを始めた時、親のありがたみを深く感じるようになりました。その頃は金銭面での苦労もあり、何度も父親に支援してもらったり助けてもらったりしました。こうした経験を通じて、お金を稼ぐことの偉大さを実感しました。アルバイトをしながらお金を得る経験をする中で、父親が長年かけて築いてきたものが、男としての憧れに変わりました。
現在、私たちの職場では職人さんがどんどん増えており、全体で約50名になりました。最初は従業員4名からスタートし、私が入社してから若手の採用に力を入れてきた結果、平均年齢が39歳程度となり、かなり若返りが進んでいると感じています。今では10代の若手が2名、20代の人たちも10名弱在籍していますので、若い勢力がどんどん増えてきている状況です。当初、若い人たちが増えることで、ベテランの職人さんたちが押し出されるという誤解が生じたこともありました。私自身は全くそのつもりはなかったのですが、そのように受け取られてしまったときには社内の雰囲気がギクシャクしてしまうこともありました。しかし、今では一番ベテランの職人さんが一番若い子に指導をしてくれるようになっています。その指導のやり取りの中で、どちらも笑顔で接している様子が見受けられるので、お互いに学び合い、支え合う関係が築かれていることに喜びを感じています。
人生において「覚悟」と言える瞬間は何度も訪れると思いますが、私が最も強く覚悟を決めたのは息子が生まれた時です。息子の誕生によって、守るべきものが増えました。自分だけではなく、より弱い存在を守らなければならないという責任感が芽生えたのです。なので結婚の時よりも、息子の誕生の方が私の中での覚悟は強かったと感じています。もともと私は自分の考えを発する機会が多かったのですが、子どもが生まれてからはただ自分の意見だけではなく、全体としてどう進むべきかを考えるようになりました。より物事を深く考えられるようになったのです。この変化により、仕事に対する発言にも重みが増してきたと実感しています。さらに、仕事に対してもっと努力しなければならないという思いが強まり、子どもにより良い体験をさせてあげたいという小さな野心の積み重ねが、私のモチベーションになっています。
他人を認めることだと思います。前職で私立の幼稚園に勤めていたのですが、他人を認める能力は、大人よりも子どもたちの方が優れているのではないかと気づきました。子どもたちと一緒にご飯を食べる機会があった際に、「吉田先生、すごい!ご飯をいっぱい食べるね、かっこいいね」と言われたことがあり、「ご飯をいっぱい食べるってかっこいいんだ」と、大人からすると、誰一人として「かっこいい」とは言わない場面ですが、子どもたちは素直な目で褒めてくれるのです。人を認めるということは、自分自身を認めることにもつながります。これはとても大切なことで、子どもたちから教わったことです。また、素直でいることで、他人の意見を聞く耳を持てるようになり、自分の成長にもつながると感じています。
建設業の若手不足の課題に対し、私たち若い世代がどのようにしてさらに若い職人を育て、この業界を盛り上げていくかが今後最も重要な課題だと思います。大げさではなく、私たち一人ひとりが手を取り合っていかないと、自分たちより下の世代は絶対に成長していきません。みんなで手を差し伸べ合い、互いに引き上げ合うことが必要です。等身大で目の前のやるべきことを一つずつ着実に積み重ねていく。一気に飛躍することは難しいかもしれませんが、1段1段、しっかりと1歩1歩踏みしめて上がっていくしかないと思っています。
自分自身をしっかり見つめて、得意なこと、苦手なことに対して、誰の責任にするわけでもなく、自分で選択をして働くことが1番大切だと思います。 その選択肢の1つとして建設業が選ばれる日を目指して、私自身はこれからも精進してまいりますので、皆様の未来の役に立てる日が来ることを祈りながら頑張ってまいります。
出張から帰ってきたときにリビングにあった手紙です。息子が書いてくれたセイウチが何とも言えないかわいらしさで気に入っています。毎日携帯カバーの中にいれて持ち歩いています。
現場内で電話等に気づくことができるかつ、両手が空いて音を拾いやすく、とても聞きやすいので重宝しています。