
兵庫県明石市出身。工業高校卒業後、海上自衛隊に入隊。退職後、司法試験を目指すため、働きながら学べる近畿大学法学部通信教育課程に入学し、9年半をかけて卒業。その間、トヨタ自動車の工場で期間工として働きながら勉強を続け、31歳で司法試験に合格。2016年に弁護士登録(第69期)。京都の法律事務所での勤務を経て、2021年に独立し、弁護士法人大久保総合法律事務所を設立。現在は代表弁護士として、民事事件、刑事事件、交通事故、相続、破産など幅広い分野を手がける。母校である近畿大学の同窓会組織「梅友会」の会長及び「校友会」の副会長も務める。
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18歳で海上自衛隊に入りました。二等海士からのスタートです。私と同じ年に、防衛大学校や大学を出た人たちが、23歳で三等海尉として任官してきます。私が定年まで勤め上げても、届くのは曹長です。この差は、生涯縮まりません。では何が違ったのか。分解していくと、勉強をしたかどうか、それだけでした。学歴も、お金も、地位も、後ろ盾も何もない自分が、この構造をひっくり返す方法は何か。そう考えたとき、一番の近道は、圧倒的にハードな勉強をすることだと思ったんです。単純な発想でした。それで、日本で最も難しい試験を調べました。当時は、司法試験が突出していました。だったらそこを目指そうと。それが始まりです。
私の母は父の借金の連帯保証人となり、後に自己破産をしています。父が家族を放り出してから、毎日のように取り立ての連絡があり、泣きながら悩んでいました。ところが弁護士に依頼して受任通知を出してもらった途端、請求がぴたりと止まったんです。あれほど苦しんでいた状況が、書面一通で変わりました。こんなに解決する方法があるのに、それを知らないまま苦しんでいる人がどれだけいるのだろう、と思いました。法律は、知って、使って、初めて力になります。だから私は「早さ」にこだわっています。事故の痛みも、離婚の不安も、借金で眠れない夜も、一日早く動けば、苦しむ時間が一日短くなる。そのために、事務作業を自動化する仕組みを自分で作っています。技術は、依頼者を待たせないための手段です。
トヨタの工場で期間工として働きながら勉強を続け、3年目の論文式試験も不合格でした。正直、諦めかけました。ここまでやってダメなら才能がないんだろうと。でも諦めきれず、かといって腹も決まらず、ぐずぐずしていた時期があります。一番苦しかったのは、その中途半端な時間でした。最終的に、やるかやらないかしかないと思いました。ロースクールに進んで3回落ちれば、受験資格はなくなります。そうなったらフランスの外人部隊に行こうと、本気で調べていました。学歴も地位もない自分に与えられたのは、健康で強い体だけです。それなら、せめて世界のどこかで何かの役に立って死にたいと思っていました。逃げ道を断ったとき、迷いは消えました。
自分がやると決めたことを、誰のせいにもせずやり切っている人だと思います。私は工業高校を出て、自衛隊に入り、期間工をして、何者でもなかった時期があります。まっすぐな道を歩いてきたわけではありません。学歴も環境も、恵まれていたとは言えない。でも、環境を言い訳にした瞬間に、何も変わらなくなります。理想に近づくために必要なのは、才能ではなく、自分で環境を設計する力だと思っています。勉強する時間がないなら、作る。教えてくれる人がいないなら、自分で調べる。今も同じで、事務所の仕組みが足りないなら、自分でプログラムを書いて作ります。人のせいにしない大人が、私は一番カッコイイと思います。
法律は、本来とても優れた仕組みです。困っている人を守り、揉め事を公正に解決するためにあります。それなのに、多くの人にとっては遠い存在になっています。どこに相談すればいいか分からない、費用が不安、そもそも弁護士に頼めるような話なのか分からない。そういう壁がいくつもあって、一番助けを必要としている人ほど、たどり着けていません。私が目指しているのは、この壁を取り払うことです。全国どこにいても、誰でも当たり前に法律を使える状態を作りたい。そのためには、今までにない仕組みが必要だと思っています。既存のやり方の延長では届かない。だから作るしかない。そう考えて、日々取り組んでいます。
遠回りをしても大丈夫だと伝えたいです。私は31歳で司法試験に合格しました。同世代がキャリアを積んでいる間、私は工場で働きながら勉強をしていました。焦りもありましたし、正直、恥ずかしいと思った時期もあります。でも今になって分かるのは、その遠回りが全部つながっているということです。自衛隊で身につけた体力、工場で学んだ改善の考え方、通信制で独学した経験。どれ一つ欠けても、今の仕事はできていません。今いる場所が望んだ場所でなくても、そこで身につけたものは必ず後で効いてきます。人生は一本道ではありません。どこからでも、やり方次第で変えられます。

弁護士の仕事は書くことがすべて。頭に浮かんだ主張を同じ速度で文字にできるかが書面の質を決める。長時間打っても疲れず打鍵が正確。事務所のシステムもこれで書いています。

依頼者からの大事な連絡はいつ入るか分からないので、iPhoneは肌身離さず持ち歩いています。移動中でもすぐ確認して返せる。安心を届けるための私の生命線です。