金沢医科大学卒業。学生時代はハンドボールとフラッグフットで体を鍛える。三井記念病院で外科研修を受けその後アメリカメリーランド州のラボに1年従事した。帰国後育児の傍ら訪問診療に携わるようになり2015年イリス訪問診療クリニック開業。現在に至る。書道は師範の資格を持つ。
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まず父親が医者です。高校で理系を選択し、進路を決めるときに薬剤師と悩んだのですが父親の勧めもあり医学部を選択しました。ハンドボールで培った体力に自信があり手先も比較的器用だったので外科医を目指し外科研修を受けましたが、チーム医療なので子育てと両立させる自信がなく外科医をあきらめようと考えていた時に、バイトで初めて関わったのが訪問診療でした。訪問診療は訪問先で医療を提供するのですが、それぞれのお宅で環境も違うし医療に対する考え方も違う。悩みながらもその中でできる医療を精いっぱい提供するのが、何より医療の原点のような気がして、この仕事を続けていこうと決心しました。
同じ仕事をしている方はたくさんいらっしゃるし、恐らく私の代わりはいくらでもいるんだろうと思いますが、私にしかできないかなと思うのは、患者さんのいろんな考えを受け止めてそれぞれに寄り添った医療、介護を提供提案することだと思います。患者さんとの距離感が比較的他のドクターに比べて近いのではないかと自負しています。まあその距離感が嫌がれることもあるかもしれませんがそれは相性ですね。資金面でも相談に応じていますし、時間外の対応やショートメール対応も柔軟に行っています。こうすると親切かなと思うことを医療以外のことであっても積極的にやっています。
まずは開業して看板を背負ったときに、ああ私はここにずっといるんだ、丁寧に関係を積み上げていかねば、と覚悟しました。信用が一番大事ですから、一度でも不信を買ってしまうとそのあとの挽回は難しいと思っていますのでそれはそれは緊張したのを覚えています。その後も新規の患者さんのご依頼を覚悟をもってお受けしますが、最近はあまり緊張はしません。患者さんとの出会いを楽しみにしています。
森の中の大きな樹みたいな人。想像してみてください。まず自分でしっかり立っています。しっかり立って根を張り水分養分を吸収します。いろんな所から情報を収集し、知識を蓄え、経験をもとに自分の幹を太くし枝を伸ばし葉を茂らせる。そして木陰を作るとその下にたくさんの植物や動物が集まってきます。他人に寛容で邪魔はせず安らぎを与える人。そういう大人になりたいです。経験も浅い根だと自分が太くなった時に倒れてしまいます。深い根を張らなければ。
とりあえず自分の知識や経験を社会に還元しないといけないと思いますので、今の仕事をなるべく長く続けたいと思います。あとは死に対するみなさんの感覚を、忌み嫌うものではなく自分の人生の一つのイベントとして捉えられるように、認識を新たにできるように語りかけていきたい。実際在宅看取りの現場には笑顔があり笑い声が聞こえるのです。
スマホから情報が溢れだし、聞きたくもない他人の文句や自慢話が聞こえ、時間の流れが速くなり仕事の処理速度もアップしたのに仕事量は増える一方、戦争も相変わらずなくならず、ホモサピエンスでつらいわ、と嘆きたくなる毎日です。でも昔よりは、精神論根性論があまり流行らなくなったしハラスメントにもうるさくなって無駄な飲み会にも行かずに済み労働者も守られるようになりました。いつの時代も一生懸命なうちはつらいけれどそれを抜ければまあまあだったと言えるようになります。大丈夫です。みんな大河の一滴。
研修医の時に買ったものです。辛かったけど楽しくもあった時代を共に戦ってきました。今後も共にありたいと思います。
これがないと字の如く何もできません。もはや顔の一部。コンタクトにしてもいいのですが、少しこれで貫禄がでて医者っぽく見られるといいなと思ってかけています。かけても医者に見られないことも多いんですけどね。