慶応義塾大学医学部卒。慶応義塾大学病院とその関連病院にて20年間、外科医、緩和ケア内科医として活躍。2020年、ゆめクリニックを横浜市内で開業。開業3年目にして在宅クリニックの全国ランキング(看取り件数)で10番台(2752施設中)。新規の患者さまの依頼が途絶えない人気のクリニックに成長。
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5歳の時に生死を彷徨う大病を患い、いつからか、自分は医師になるという強い思いを持つようになりました。両親に思いを打ち明けましたが、猛反対されました。悔しくて、泣が止まりませんでした。翌朝、学校の職員室に駆け込み、担任の西脇先生にこのことを打ち明けたところ、西脇先生との猛勉強が始まりました。連日の特訓もあり成績が伸びていきました。無事大学医学部へと進学し、合格発表当日、私の外出中に「にしわき」と名乗る女性から、電話があったというのです。内容は「合格おめでとう、よく頑張りましたねと、伝えてください」というものでした。当時、合格者は、新聞に掲載されており、新聞で私の名前を見つけ電話してくださいました。あれから十数年が経っても、ずっと気にかけてくださっていたのです。その時のことを思い出すと、涙が溢れ出します。この気持ちと、みなさまに繋いでいただいた命を大切にし、社会へ恩返しできたらと思っています。
超高齢化社会に突入した日本において、在宅医療が置かれた環境は、まだまだ十分とはいえません。ご自宅で病気を抱える患者さまの療養を支えるためには、たくさんの方の支援と連携が不可欠となります。さらに、独り暮らしの方となると、介護や福祉のサポートに加えて、行政の支援も必要となり、さらに状況が複雑となります。施設への入所を余儀なくされる場合においても受け入れ先の絶対数が不足している状況もあります。このような在宅医療の置かれた現状を伝えながら、私たちの取り組みや活動を少しでも理解してもらえるように努めてきた結果、徐々に患者さまのご紹介と、クリニックへの協力者が増えていき、現在ではスタッフが全体で70名、担当する患者さまは700名という規模にまで拡大しました。私と事務員2人で始めたクリニックが、4年間でここまで急速に成長するとは思っていませんでしたので、まさに夢のように感じております。
残りの人生を、患者さまや在宅医療に捧げます。患者さまの命をつなぐ携帯電話は、24時間365日、肌身離さず持ち歩き、寝ているときは枕元に、入浴中でも携帯電話をタオルに包んみ浴室に持ち込んで、いつでも電話に出られるようスタンバイしています。
周りの方に常に気を配り、元気で、周りを幸せにする人。相手を傷つけず、思いやりや、やさしさを持つ人。言い訳をせず、自責で考える人。有言実行で、常に結果を出す人。人のために尽くして恩をきせない人。レールのない、茨らの道を歩む人です。
在宅医療のおかれた現状を伝えながら、私たちの取り組みや活動をすこしでも理解してもらえるように努めてきた結果、現在では、医師が25名、スタッフは全体で70名、担当する患者さまは700名という規模にまで拡大しました。在宅医療では、「病気を診るだけでなく、その方を全方向から全人的に診る」というスタンスが、自然に身についていきます。このように研ぎ澄まされた感覚を持った医師や看護師、医療スタッフを、一人でも多く育てて世の中に輩出したい!というのが、われわれのミッションであり、強い願いです。ゆめクリニックで学んだ若き医師たちが、やがて全国に散らばっていき、自身が培った経験をフルに活かして「全人的に人を診る」医療を実践する。まるで、花の種子が、風に乗り、遠い土地に根を下ろし、そこで新たな大輪を咲かせるように、全国へ、さらに、世界へ、広がっていく。もしそんなことが実現したとするのなら、これほど素晴らしいことはありません。
ゆめクリニックには、現在25名の医師が活躍しています。医師の視点から見ると、在宅医療は、病院勤務とは全く異なります。病院では、目の前の患者さまの家族背景や暮らしぶりなど普段のご様子をイメージできないため、どうしても「病気や疾患を中心に診る」というスタンスになりがちです。一方、在宅医療は、患者さまの日常に医師自らが飛び込んでいくため、その方の普段の生活環境やご家族との関係性などが手に取るように分かります。その患者さまが、なぜ、その病気になったのか、どうしてなかなか良くならないのかなどが、わかるのです。言い換えれば、在宅医療では、「病気を診るだけでなく、その方を全方向から全人的に診る」というスタンスが自然に身についていきます。このように研ぎ澄まされた感覚を持った医師や看護師、医療スタッフを、一人でも多く育てて世の中に輩出したい!というのが、われわれのミッションであり強い願いです。
僕の相棒です。四六時中肌身はなさず持ち歩いています。持ち物が増えるたびに、だんだんカバンのサイズが大きくなっています。
この携帯電話と手帳は、患者様の命を繋ぐ大切なツールです。往診バッグと同じく、24時間365日肌身はなさないように持ち歩いています。いつでも電話を受けられるように寝る時は枕元に置いています。