Yellow Monkey Brewing株式会社の創業者兼代表は1977年生まれ。小児喘息を患いながらも中学で空手を始め、法政大学を卒業後、スイス系商社でセールスとマーケティングを経験。2013年、スイスのスポーツブランド「On」の日本上陸プロジェクトに関わり、ランニングを始める。2015年にオン・ジャパン株式会社を設立し、2020年に代表に就任。2024年に退職後、同年5月に横浜市でYellow Monkey Brewingを開業。ランニングやビール、空手を楽しむ生活を送っている。著書「なぜ、Onを履くと心にポッと火が灯るのか」雑誌ビギン 「アクティブ超人コマダ 大人の仮入部」を連載中。
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スイスのスポーツブランド「On (オン)」の日本法人の代表として約10年仕事をしてきた中で、私の大きな目標は、「Onを日本に根付かせること」「自分が死んだ後でも残るブランドに育てること」でした。ですが、それはあくまで目標であって、私の人生の目的は「人と人を繋ぎ、笑顔を広める」ことだと、2019年頃から明確に意識するようになりました。つまり、Onは目的ではなく手段だったと気がついたわけです。その「人生の目的意識」が今の活動に繋がっています。
Onで働き始めた頃、On共同創業者のキャスパー・コペッティからこのように言われたことがありました。「Be pirates. Be playful.」 と。それは、誰かが決めた常識や枠組みを鵜呑みにせず、「こうあるべき」といった固定観念や同調圧力からいったん離れてみること。遊び心と少々の反骨心を忘れず、自分の選んだ道を堂々と力強く進むこと。私はキャスパーの言葉をそのように解釈しました。「Be pirates. Be playful.」 は、キャスパーからもらった個人的なメッセージでした。その言葉を胸に、Onと共にあった10年間を生きてきました。ですが、いまやそれは Yellow Monkey Brewingの全てのメンバーに共有された想いであり、企業文化でもあります。
覚悟は突然生まれるものではなく、「自分は何がしたいのか」「自分はどう在りたいのか」を自問自答を繰り返しながら少しずつ固めていくものです。そうすれば、決断が必要な場面で素早く判断できるようになります。私が人生で最も覚悟した瞬間は2回ありました。1回目は2015年にOnスイス本社で「Onジャパンを設立したい」とプレゼンを行ったときで、ブランド普及に魂を賭ける覚悟をしました。2回目は2022年、On日本上陸10周年のイベントを最後にOnを去ると決めたときです。私にとって覚悟とは、迷いなく生きるための羅針盤です。その羅針盤を心の中の見えやすい場所に置いておけば、たとえ困難な状況に直面したとしても、自由に楽しく、軽やかに生きることができると信じています。
魂に覚悟を刻み込み、進むと決めた道を穏やかに歩んでいく人がカッコイイと思います。たとえ困難な状況でも日常に良さと美しさを見出し、前向きに生きる人。自分自身という「グラス」を愛と幸せで満たし、そこから溢れた分を人に分け与えられる人。そういう人を、私は理想の大人像としてイメージしています。そういうカッコいい大人になりたいと思っていますが、自分がそこに届いているかどうかは、まだ分かりません。そのような理想に近づくために必要なのは、「自分がどう在りたいか」を常に意識し、そこから生まれた初心を忘れずに生きることだと思っています。
横浜をクラフトビールの街にすることと、クラフトビールの街になった横浜を世界に広めることです。また、目の前の「たった一人」を笑顔にする。それを何百回、何千回も繰り返す。それが今の私の目標であり、夢となっています。
他の誰かが決めた常識や枠組みを鵜呑みにせず、「こうあるべき」という固定観念や同調圧力からいったん離れてみてください。自由な発想で、遊び心をもって、あなた自身の「私はこうしたいんだ!」「私はこうありたいんだ!」という魂からのメッセージに従ってみてください。魂からのメッセージに従って生きると決めたなら、その初心を心の中の見えやすい場所に置いておき、折に触れて見直してください。それがあなたの羅針盤になります。それがあなたの覚悟になり、人生の決断を助けてくれます。私はそうしてこれからも生きていこうと思います。このメッセージを見てくださるあなたと同じ時代に生きていられて良かったです。いつか、乾杯しましょう!
On共同創業者キャスパー・コペッティから贈られたPCバッグです。感謝の気持ちとブランドストーリーへの共感から今も大切に使用しており、クラフトビール会社を立ち上げた今、バッグの「ビール色」に不思議な縁を感じています。
設立時から共に働いてきた戦友からの感慨深い贈り物です。最初に履いたOnのモデル名が「Cloudsurfer」だったこともあり、退職後、次の人生を進もうとしている私に「Cloudsurfer Next」をプレゼントしてくれました。