関西学院大学卒業、新卒で(株)神戸製鋼所入社。シンガポール駐在7年。その後独立、東南アジアを中心としてビジネスを展開。
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
1984年にシンガポールに着任し、学生時代に学んだ戦後歴史教育と実態があまりにかけ離れていることに愕然としました。第二次大戦中の日本のおかげで独立ができたという各国の若者たちの言葉は衝撃的でした。そこから新アジア主義思想が芽生えました。ジョージオーウェルの「1984」をもじったマッキントッシュ紹介プレゼンに匹敵するパラダイムの変換でした。
西南戦争後、西郷隆盛の魂に会いに行った頭山満は西郷の愛読書「洗心洞劄記」を借り受け耽読しました。もはや武力で明治政府にかなわぬと見た頭山は板垣退助、中江兆民などと民権運動に走ります。その後植木枝盛、宮崎滔天、中村天風、孫文、アギナルド、ビハリーボースなどアジア主義が形成されていきます。今日の外国人労働者問題はこのアジア主義抜きでは考えられません。単なる労働力の補いということではなく、先人たちが唱えたアジアと共にという理念が今求められています。
西郷さん、頭山さんが唱えたようにアジアは一つという理念が私の覚悟です。資本主義、帝国主義、西洋合理主義はアジアを植民地化するための論理です。西郷に影響を与えた島津斉彬、山田方谷、橋本左内などはこのアジア主義の提唱者です。日本人の多くはこの西洋合理主義に染まっており、アジアの若者を単に安価な労働力と考えていることは誠に嘆かわしい実態です。啓蒙活動を進めるのが私の覚悟です。
日本人は経済合理性だけで物事をとらえてはいけません。ほとんどの日本人が欧米かぶれ（帝国主義者）、尭舜時代を理想とする儒教にかぶれています。やはり日本人は「もののあわれ」をベースにした行動規範を持つべきです。日本人は日本人であって、欧米、中国の思想に殉ずるなかれです。理想の日本人の大人像は「男の中の男」光源氏です。万葉集・源氏物語にそのヒントが隠されています。
2040年まで640万人の外国人が流入するということは文化、宗教を含めて社会が大きく変わることを示唆します。共産主義者、キリスト教信者、イスラム教信者、テロリスト、仏教信者などが混然としてカオスの世界になるでしょう、そのために「郷に入れば郷に従え」で日本の歴史、文化、伝統を学んでもらわなければなりません。そのためのプラットホームづくりが重要となります。
戦後歴史教育は「日本人を捨ててアメリカ人になること、またはアンチアメリカ社会主義に走ること」のいずれしか選択肢はなかったようです。すでに戦後77年たった今、日本の固有の価値を見出すべきです。しかも日本の若者以上にアジアの若者が日本の伝統、文化、歴史、思想を学ぼうとしています。
この万年筆は私が会社を辞める時に先輩、同僚、後輩が記念として贈ってくれたものです。辞めないでほしいと皆さんに説得されましたが、一度きりの人生ということでアジアとともに生きる道を選びました。
会社員時代、シンガポールを基点にミャンマー、インド、タイ、インドネシアなどを歴訪していましたが、日本帰国時に皆さんが私とアジアの関係が続くようにと記念としていただいた時計です。
