東京大学法学部卒業、ハーバード大学ロースクール(法学修士)卒業。1995年裁判官に任官し、東京地裁・最高裁民事局・福岡地裁に勤務した後、2005年西村あさひ法律事務所に入所(2007年からパートナー)。2019年4月に独立にしてAI-EI法律事務所を設立。著作は『和文・英文対照モデル就業規則〔第3版〕』(中央経済社)、『企業労働法実務相談』(商事法務)など多数
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高校までは家業(理容・美容室チェーン店経営)を基にしてビジネスを拡大することを考えていましたが、東京大学文科Ⅰ類に合格したとき、親(いずれも高卒)が私は家業をつがないと思ったようで、そのまま大学1年の時に父親が逝去し、母親が家業を継いだため、資格をとるため司法試験を目指すことにしました。合格当初は、M&A等を扱うビジネス弁護士を目指していましたが、修習時、裁判官に勧誘され、裁判官のキャリアの中で、民事立法を扱う仕事があるのを聞いて興味を抱き、任官しました。東京地裁配属後、留学し、その後最高裁民事局に配属されて倒産法改正に従事する機会を得て、任官の目的が達成できたのと、その後の裁判所の中心的なテーマが裁判員制度になってきたため、2005年、任期満了を機に退官しました。企業の再建を弁護士として扱いたいと思い、当時の西村ときわ法律事務所(現・西村あさひ法律事務所)に入所しました。同所には14年間いましたが、徐々に企業再建より紛争案件を多く扱うようになり、大手の事務所だと顧客間のコンフリクト(利害相反)も多いため、より自由に企業間紛争を扱える環境を目指して、独立しました。
ありきたりな法律論を振りかざすのは何の解決も生み出しません。法律はあくまで社会を規律する「ツール=道具」であり、「目的」ではありません。そのため、まずは、着地すべき「目標」「ゴール」を設定し、そのために何を使うことができ、どういう方法論でそれを実現するかという、「ソリューション提示型」で仕事をするのを心掛けております。また、上記の「ゴール」設定をする上で、クライアント自身が自分の置かれている状況や自身のニーズを正しく把握できているとは限りません。そのため、「聞く力」も重要であり、クライアントがうまく表現できていないことを引き出すことも弁護士の力量の1つだと考えております。裁判等で主張を提示する際も、相手の主張に闇雲に反論するのではなく、客観的証拠に裏付けられた点と点を結ぶ作業の中で見出した「ストーリー」をきちんと提示していくことが肝要であり、そのために入念な事前準備が重要であると思います。
人生において、これまで進んできた道と違う道を進むことを選ぶのはそれなりに覚悟を伴います。
私の場合は、
①裁判官になったとき、
②裁判官をやめて弁護士になったとき、
③大事務所をやめて独立したとき、それぞれに覚悟があったと思います。その中でも、②の裁判官をやめるについては、これから先の長い若い時の決断でもあり、人から見ればエリート路線に乗っていた自分にとって、地位や名声・見栄えよりも、「仕事の面白さ」「人生の楽しみ」を優先して選んだ決断であって、自分にとっては間違いのない選択であったと思います。現状、多くの人と知り合う機会が得られ、幅広い案件を扱い、様々な経験も得られ、精神的にも経済的にも豊かな生活ができているのも②の段階の決断があったからであると思います。
人の価値観や人の意見に左右されずに、自分の「ものさし」をもって物事を測れることであると思います。仕事においては、過去の先例や文献にとらわれず、論理的帰結や案件の特性、社会の状況等から、もっとも最適な解を自ら「導き出す」姿勢で臨む、私生活でも、ブランドだからよいとかミシュラン店だからというのではなく、自身にとってのニーズや自身の嗜好にマッチしたものを自ら選べるのが「自立した大人」の在り方であると考えます。
欧米には名のあるlitigationファームがあるが日本ではあまりありません。10年以内に、日本一、少なくも日本で5本の指には入るような、litigationのブティックファームを作るのが目標です。
社会人になれば、生活の多くの時間は仕事に費やされます。仕事を「生活のため」ではなく、「生活として」それ自体を「楽しんで」できるようになれば、それだけ人生は充実するように思います。ただ、もとより皆が最初からそのようなことができるわけでありません。スポーツで基礎練習や筋トレ・体力づくりが重要なように、仕事にも、それ自体は面白くなくても「基礎を身につける」ために必要なことがあります。そうしたことも、自分の将来ビジョンを持って、そこにどう活かすかを考えつつやれば乗り越えられますし、身に付き方も違うと思います。そうして基礎ができた上で、自分のスタイルを確立して「自分だけのバリュー」が発揮できるようになれば、より仕事は楽しくなると思います。私の座右の銘の「恩送り」は、法曹の世界の文化として大先輩から教えられた言葉で、先輩から受けた「恩」は先輩に「返す」のでなく、後輩に「送る」ように言われました。次世代を担う若い方々に今後「恩送り」ができればと思います。
エルメスモデル。アリゲーターボルドーの革製スペアベルト(フランス製)も別途購入。電話・メール・キャッシュレス決裁・天気予報・ゴルフなどあらゆる場面で活用。
日本の法廷では使わないのですが、裁判官として米国留学した際に、アメリカの連邦最高裁のお土産売り場に売っていたので自分で購入したもので、その後ずっと執務室に飾っています。