覚悟の瞬間(とき)

瑞枝クリニック 院長 小椋哲
おぐらさとる

小椋哲

鳥取県生まれA型
職業:瑞枝クリニック 院長
趣味:人生それ自体
座右の銘:Pay respect for every single being, like God does.

熊本大学医学部卒。東京大学医学部附属病院精神神経科入局。都立松沢病院、東大病院助教を経て平22年、宇治おうばく病院(京都)に勤務。平28年12月、瑞枝クリニックを開業、平30年9月、医療法人瑞枝会クリニックに改組。日本精神神経学会、日本精神病理学会、日本病跡学会所属。精神保健指定医、精神科専門医。

オフィシャルサイト

来歴

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なぜ今の仕事に?

中学の時、不登校になりました。勉強も部活も何も問題なかったのに、このレールに乗り続けると取り返しのつかない大変なことになるという予感がありました。以後、心身のバランスを崩し、高校を2年で中退する頃には、自分のからだに巨大な力が貫いて心身がバラバラになる危険を常に感じていました。今の私なら精神病発症危険状態、と診断しますね。ある日、田舎の書店で偶然、土方巽(日本の舞踏家)の写真集を見つけて「あ、この人、自分と同じ病気だ。踊れば死なずに済むんだ」と悟って、勘当同然で単身上京し、クラシックバレエの修得を始めました。18歳の終わりでした。今思うと自分が私の最初の患者でした。紆余曲折あり29歳で医学部に入学。38歳で精神科の診療を開始。結局今も、自分の「治療」は続いています。この仕事に就いたきっかけは?と聞かれると、10代からそうせざるを得なかった、となります。

現在の仕事への想い

医者は、自分の健康度、それ以上に患者さんを健康にできない、と思っています。だって、自分ができていないことを、あなたやりなさい、とは説得力に欠けませんか。だからまず、自分の心身をヘルシーに保つ努力をしています。

あなたにとって覚悟とは

雲梯(うんてい)って、覚えていますか。学校の運動場や公園にある、鉄棒がはしご状に連なった遊具です。両手でぶらさがった後、片手を離して一つ先の鉄棒をつかみ、それを左右交互に繰り返して、手長猿のようにゆらゆら端まで進んでいきます。覚悟の瞬間って、あの、片手を離す瞬間なんです。次の鉄棒をつかむためには、必ず、いま握っている鉄棒を離すしかありません。思えばひたすら、雲梯をやってきてますね。10代では、死のうと思っていたが自分のいのちは自分のものじゃないんだと気づいて生きることを決意した時。学歴と両親と田舎を捨ててクラシックバレエを修得するために上京した時。20代では、一方しか助からない状況になったら子供を生かして自分が犠牲になる覚悟を決めて中絶せず予定外に父親を引き受けた時。そして、ダンサーへの夢をあきらめ医学部受験を決意した時。最近では、収入が安定している勤務医をやめて、ベンチャークリニックの開業を決意した時、そして、今回、覚悟の瞬間に出演を決めた時です。

カッコイイ大人とは?

誰よりも少年少女で、誰よりも老熟している、そんな大人がかっこいいと思います。

今後に向かって

開業した一番の理由は、いまの精神科医療のシステムがあまりにもひどいからです。国が決めた診療報酬だと、簡単な問診程度で同一処方を繰り返す6分診察と、死のうと思って受診した患者さんを思いとどまらせる29分の診察が、同価値になります。そんなバカな…。短時間の診察で機械的に処方をした方が儲かるのです。3分診療でお薬がいっぱいでる精神科医療の現状には、そのような背景があるわけです。そこで当院では、追加の予約料をいただければ、20分、40分など、十分な診察時間を確保できる、完全予約制のシステムを立ち上げ、幸いにも、精神科のユーザーの皆さまに受け入れられ、開業から2年足らずで法人へ移行することができました。でも、予約料が経済的に支払えない方はどうなる?そう、思いますよね。予約料なしでも、再診は10分を確保しています。3分診療よりは、ずいぶんと質のよい診察はできます。それでも、20分、40分となると、予約料がかかります。だから、開業した当初より、一つの目標がありました。保険料を納めていただければ、その予約料が1割負担ですむ、精神科に特化した、民間の医療保険を用意したい。仮に、瑞枝保険、と呼びましょう。精神科のヘビーユーザーの方は、断然、瑞枝保険に加入した方が、割安で、かつ、良質な精神科医療が享受できる。これが、今後の大きな目標の一つです。でも、財源はどうする?そう、思いますよね。だから、開業当初より、もう一つの目標がありました。自給自足、です。どういうことでしょうか?精神科の医療を必要としている人たちが、自分たちに必要な良質な医療を、自分たちで購入できるようになる、つまり、稼ぐ、ということです。でも、うつ病で寝たきりの方が、どうやって働くのか?精神障害者の方が、健常者のように会社で働いて稼ぐことが、できるのか?ここで、発想の切替が必要です。精神科のユーザーの方を、健常者と比べて、障害をかかえている方、と捉えるのではなく、多数派の健常者と異なる心身の反応を示す、少数派、と捉える。それを、当院では、サイコソマティック・マイノリティー、心身の反応における少数派、英語の頭文字をとって、PSM、と呼んでいます。PSMという概念は、その中に、いわゆる精神障害者を含む、より広い概念です。そして、精神障害者 VS 健常者、という構図からは見えてこない世界が、そこに広がっていきます。一番目は、PSMの方がもつ、多数派にはない価値が見えてきます。実際、当院に通院中のPSMの方は、イラストや、占い、ゲームのストーリー制作、ロゴ制作など、独特のスキルを持つ方、多いです。二番目は、多数派が得意な、会社勤務という働くスタイルにこだわらなくてもよい、というマインドブロックの解除です。つまり、適切なサポートさえ用意できれば、PSMの方は、その独自のスキルを活かして、独立・起業し、稼ぐことができる。それをサポートするプログラムを、当院は準備中です。名付けて、ビジネス・ランチャー・フォア・PSM。そのプログラムの卒業生が、どんどん稼いで、その収益の一部をサポートの手数料として、瑞枝保険に回していただく。それが、自給自足です。それでも、たとえそのプログラムがあったとしても、寝たきりのPSMの方は、稼ぐのは厳しくはないか…。確かに、そうです。そんなPSMの方の、存在意義は、どこにあるのでしょうか?そこで、結局、私は、自分の原点にもどることになります。自分のからだに巨大な力が貫いて心身がバラバラになる危険を常に感じていた、あの頃に、です。その力とは、生命力、とも言えるし、人間を超えた宇宙の力、とも言えます。いずれにせよ、それを感じすぎると、PSMになるか、発病します。逆に、感じなさすぎると、クリエイティビティの乏しい多数派に甘んじます。私は精神科の臨床を続ける中で、その力を感じすぎる方たちを、健康を害さない程度に感じられるように調整する、そんな仕事をしてきました。寝たきりの方、保護室から出られない方たちと接する中で、そのテクノロジーを磨いてきたわけです。そのテクノロジーを、今度は逆に、その力を感じたくても感じられず、創造性を発揮したくても発揮できない、多数派の方たちに、応用する。それができた時、寝たきりのPSMの方たちの存在意義が、多数派に伝わることでしょう。具体的には、ポジティブシンキングだけではブレイクスルーしない、多数派の方たちのための、自己啓発のセミナーを準備しています。コンセプトは、「健常なあなたに足りない、狂気の一滴」。ここまで、物語が一巡した時、少数派と多数派は、共生できているはずです。医療法人瑞枝会のビジョンが、そこにあります。

若者へのメッセージ

いま、あなたを直接、応援する人がいなくても、あなたと同じたましいを持った人は、この星の上に、かならず、います。私が若者だった時、私にとっての、そんなたましいは、土方巽、ル・クレジオ、ジョルジュ・ドン、中沢新一、栗本慎一郎、そしてグレン・グールドでした。あなたは、一人ではありません。あなたが、自分のたましいに気づきさえすれば、あなたは、一人ではありえないのです。

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