覚悟の瞬間(とき)

生物学者 長沼毅
ながぬまたけし

長沼毅

神奈川県生まれAB型
職業:生物学者
趣味:お酒
座右の銘:酔生夢死

筑波大学生物学類卒業、同大学院生物科学研究科修了(理学博士)。1989年、海洋科学技術センター(JAMSTEC、現・独立行政法人海洋研究開発機構)に入所、深海研究に従事。国内外の派遣を経て、1994年から現職。生物海洋学、微生物生態学が専門だが、テレビやラジオなどで地球外生命や人類の将来などにも言及する。著書多数。

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来歴

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幼少~学生時代

父は船乗りで不在がち、母はスパルタ教育という環境で生まれ育ちました。高度経済成長、核家族化という時代において「鍵っ子」第一世代、まだ花粉症やアトピーという言葉もない頃に、それらに罹患した第一世代。乳幼児期は名古屋に住んでいましたが、(おそらく)対岸の四日市からの工場排煙の影響で喘息になり、空気のよい神奈川県大和市に転地。良い先生に恵まれ、学校嫌いになることはありませんでした。そろばん塾にも通いましたが、4級止まり。中学・高校は柔道部に所属しましたが、どちらも後に廃部となりました。大学進学で両親と対立し、大学進学を機に仕送りなしの経済自立が始まりました。

生物学者の道へ進んだきっかけ

子どもの頃から科学好きだったんです。最も古い記憶の一つは白黒テレビで観た「鉄腕アトム」です。科学が明るい未来をつくると刷り込まれたように思います。幼稚園の頃、すべり台をおりて着地した瞬間、「いま自分はすべり台の上からここに来たけど、本当のところ、自分はどこから来てどこへ行くのだろう」と途方に暮れたことを覚えています。それが「自分とは何か」、「生命とは何か」、「生命の起源」など本源的な問いに囚われた最初だったと思います。高校の生物の教科書で、生命の起源に関わる日本人の名前がありました。故原田馨先生です。それで原田先生に師事しようと大学進学したら入る学部を間違ってしまった。原田先生は「山のどこから登っても到達する頂上は同じ、今いるところで頑張りなさい」と言いました。間違った学部とはいえ、そこでまた尊敬する先生に出会えました。深海底の熱水噴出孔(海底火山)の調査チームに加えていただき、これが現在の道へ進んだ直接のきっかけとなりました。

覚悟の瞬間

いわゆる厄年の頃、過労で倒れました。倒れるまで酷使するなんて、どんな酷い労働環境なんだと思ったものの、悪いのは環境じゃないと考え改めました。自分が自分を倒れるまで追い詰めたのだと気付いたのです。倒れたのは肉体の過労でなく、精神の過労のせいでした。それまでの私は実力主義を貫いてきました。それは高度経済成長期の右肩上がりモデルそのままの生き方でした。しかし、世の中はバブル崩壊を経験し、すでにマイナス成長、仕事も皆で分かち合うワークシェアリングという概念も登場していました。もうパイは大きくならないのに、自分だけ多く取ろうとしていました。決定的だったのは、私の能力の限界が見えたことです。私には数学の才がない。これからの時代は、たとえ数学に縁遠かった生物学といえども、数学が威力を発揮する。インフォマティクスにシミュレーション、私には手が出ない。研究から考究への転換点でした。

今後の目標

漠然と「こんなこと」、「あんなところ」と思うことはあっても、具体的なプランとして考えていることはありません。今は、今のことしか考えられないですね。人生の「転換点」の後、脱力や手抜きを心掛けているのだけど、ややもすると、またすぐ頑張ってしまうので、本当に脱力するよう自分に言い聞かせています。「一生懸命脱力する」よう努力する、という妙な状況を楽しんでいるといっても良いですね。

日本のアカルイ未来のために

期待できる若い人はいます。しかし、若者に限らず、どの世代にも一定の割合で「期待できる人」がいます。逆にいうと、どの世代でも大半は「背負う人」でなく背負われる人なのです。私もそうです。ですので、今の日本を背負ってくれている人、そしてこれからの日本を背負ってくれる人へのメッセージは「これからもよろしくお願いします」です。私はせいぜい、そういう方々の足を引っ張らないように生きたいと思うだけです。そんな私でも、もし何か言わせてもらえるのであれば、こう伝えさせてもらいます。人間には協調性という美徳があるが、暴力性という悪徳があるので、とにかく協調性だけを伸ばし、暴力性を根絶させるような方向に導いて頂きたいと思います。それは「平和」の心です。平和は難しいことではないと思っておりますので、是非実現させてください。

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お気に入り

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